長崎刺繍の工程

■長崎刺繍の工程についてご紹介致します。

@ 赤や青、黄色などの彩色に施す「釜糸」と呼ばれる(京都より取り寄せた)絹糸を固く、柔らかく、細かく、太く、指先の感覚を頼りに縒りをかけ、多様な糸を紡ぐ。
  絹糸  工程@

A 枠張りした和紙や布の上に形を描き、その図柄に沿って、紙縒りや和紙、木綿糸の束、綿などを糸で縫いつけ、膨らみをつくる。
  兎1(原画)  兎2(お尻部分)

B この膨らみの上に、絹糸を繍したり、金糸、銀糸を置いて絹糸で止めたり、ときにガラスや金属も使い、浮き彫りのような立体感を出す。
  兎3(お尻部分)  兎4(お尻部分)
    兎5(合体)  兎6(合体)  兎7(完成)

  この工程では、手打針という針が使われます。字の如く、手で打ったものですが、種類は7種類以上あり、その用途によって使い分けられます。主に、毛針・極細・大細・切附・天細・相中・中太 という針がありますが、昔は長崎針というものも存在したそうです。
  糸に関していえば、一本の糸(釜糸)は十二本から出来ており、その一本が十本から出来ています。縒りは天候の湿り具合や力の賭け具合などで変わってきますが、その縒り具合や太さなどを微妙に使い分けています。また、濃い色の糸(特に黒)は何回も染められているため、使用後、他の色に比べ早期に傷み易くなります。
  上に挙げた作業@〜Bはすべて手作業です。昔は分業であったため、絵師、繍師等がそれぞれの仕事を分担していましたが、今は、全て嘉勢先生一人でなさっています。


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